世界のVisual Practiceと、これからの可能性

グラフィックレコーディング Advent Calendar 2018」最終日の記事です。


初めての方向けに少しだけ自己紹介を~。

日系IT企業で、SE→人事人材開発→デザイナー(グラフィックカタリスト)と職種を変え、「見たい変化を共に起こしていくこと」を生業にしています。

おおむね、こばりんと呼ばれています。


昨年はストーリーテリングとグラフィックのことについて書きました。

今年は世界のVisual Practice Conferenceに参加したので、私たちの勢いと挫折(笑)、そこで見つけた可能性について以下の順で書いてみます。

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・世界のVisual Practice Conferenceって何?

・「せっかく行くなら、何かつめあとを残したい!」けれど…

・Open Space Technologyで、テーマオーナーに

・これからの可能性

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●世界のVisual Practice Conferenceって何?

Visual PracticeはGraphic Recording、Visual facilitation、Sketch Noting、(Graphic) Harvestingなどの総称です。また、それらの実践者のことをVisual Practitionerと呼びます。

世界には、IFVP(International Forum of Visual Practitioners)という国際組織があり、世界各国のVisual Practitionerたちが共に学び、ネットワークを作り、協働しています。


IFVPは1995年以降、毎夏、主にアメリカで3日間程度のカンファレンスを開催しています。

2018年は、EuViz(ユービズ)というヨーロッパのVisual PractitionerのコミュニティとIFVPがコラボレーションし、アメリカではなくデンマークでカンファレンスが開催されました(2018/7/30-8/3までの5日間)。

IT企業エンジニア、コンサル、UXデザイナー、アジャイルコーチ、リーダーシップトレーナー、プロダクトデザイナー、学生、銀行員、グラフィックレコーディング専門会社など多岐わたる背景をもった200名が30か国以上から集まり、互いの実践や提案をシェアしたり、問題提起をしたり、考えを深めたり、つながりあったりしました。

↑ドイツのVisual Facilitatorという会社が作成したカンファレンス1日目の動画


●「せっかく行くなら、何かつめあとを残したい!」けれど…

EuVizに一緒にいくことになっていたラーニングパートナーのまいこと、「せっかく行くなら、ただ参加するだけじゃない関わり方をしたいね」と話し、Break Out Sessionのプロポーザルを出しました。「ま、アジアの小国の提案なんて、受からないっしょ」と思っていたら、まかさの通過。セッションオーナーに内定。あれよあれよと、セッションホスト(フランス人)とのオンラインコーチングが始まりました。


当初やろうとしていたセッションは「今の日本のVisual Practiceの境界線を題材に、どのように橋をかけていけるかをみんなで考える」という内容でした。具体的にいうと、「あれはグラフィックレコーディングだ」「あれはそうじゃない」「あれはグラフィックファシリテーションだ」「あれは意味がない」といったような分断の会話ではなく、「何のために、誰とともに、何をしていけるのか」という協働の対話を、Visual Practitioner同士やクライアント、その他の関係者と、どうやったらできるかというものでした。


何度もプロポーザルを書き直す中で、セッションホストからは「グラフィックレコーディングとグラフィックファシリテーションは何が違うのか、各国の考えを元に定義を明確にしていったらどうか」という提案がありました。「グラフィックレコーディングとグラフィックファシリテーションの二項論にしたいわけじゃないし、なんか違う…でも何が違うかわからない…」と思っていたときに、グラフィックカタリスト・ビオトープのメンバーにプロポーザルをレビューしてもらいました。言われたことは、「こばりんらしくないね、このプロポーザル。分断起こしたくないって言ってるのに、分断しちゃってるじゃん」。

目が覚めまして(笑)。

「あ~、やっぱり私がやりたいことは、ストーリーを聴き合うことだな。相手のストーリーに共鳴して、共に考えていけることってあるよな」と思い直し、全く新しいプロポーザルを作りました。タイトルは「Harvesting our stories of visual partitioning for wiser action」。セッションの目的は「Exploring our capacity as visual practitioners」。内容は、Visual Practiceを始めるきっかけとなったストーリーをトリオ(ストーリーテラー、ウィットネス≒リスナー、ハーベスター≒グラフィックレコーダー)で聴き合うというものでした。


新しいプロポーザルに対するセッションホストからの返信は「これ、セッションプロセスの管理が難しいと思うよ(「プロセスとコンテント」のプロセスだと理解しています。Hidden Agendaともいわれます)」と。これ以外にもいくつか会話をし、まいこと夜中まで話し合い、結果としてプロポーザルを取り下げたのは、5月の終わりの頃でした。


●Open Space Technologyで、テーマオーナーに

時間軸を8月へ。カンファレンス2日目の午後は、Open Space Technology(OST)でした。OSTでは、参加者がテーマを出すことができ、興味・関心のあう人がそのテーマに参加します。OSTが始まる直前、私とまいこはオンラインコーチングをしてくれたセッションホストとやっとリアルに会って話すことができました(セッションホストはみんな忙しく、なかなか落ち着いて話すことができなくて…)。

ラーニングパートナーのまいこ、セッションホストのニコラス、私


この場でニコラスと会話をし、勇気づけられた私たちは、OSTで「Visual Practitionerになった、互いのストーリーを聴き合う」というテーマのオーナーになりました。その瞬間の動画がこちら(まいこが映ってます)。

集まってくださった方には、もちろんそれぞれのストーリーがあって。

共通していたのは、「初めてVisual Practiceと出会ったとき、今まで自分が見てきたことと違う世界だと感じた」、「私たちそれぞれの人生にとても大きなインパクトを与えた」ということでした。

私のアジャイルコーチメンター ヴィヴィアンが描いてくれたOSTのアウトプット


●これからの可能性

ここまで書いてきて、「分けたり」「定義したり」することは、理解のしやすさや安心は生むけれど、それ以上の協働を生みづらくさせるかもしれないなと感じました。

ただ、もしかしたら私が見えていない「あたたかな分断」や「寛容さをもった定義」といった世界もあるのかもしれません。自分が見ていない、見えていない可能性にも感覚を研ぎ澄ませていたいなと思っています。


対立の中に対話を。

互いのストーリーを聴き合える余白を。

もっと、ウィットさとクリエイティビティを。


この記事だけでは伝えきれていないことが多く、私を知らない人から見ると「何のこっちゃ?」かもしれませんが、今この3つが私の中に沸き起こっています。

2019年はこの3つを軸に、生業である「見たい変化を共に起こしていくこと」を、ペンと紙と問いを持ってやっていこうと思います。


そして何よりも。この場を創ってくれたわなみん、本当にありがとう。

わなみんのおかげで、大変めんどくさがりの私がおも~い腰をあげてブログを書き(笑)、さらに私は多くのVisual Practitionersのストーリーに触れることができました。

オンライン上ではありますが、感謝の気持ちをお伝えさせてください。

ハッピーメリークリスマス!


A SAMPLING of PHOTOS (Copyright Orest Tabaka)

NarratiViz

えがいたら、世界はもっと、変わってく。